変動率に注意
先々週の米住宅公社への公的資金投入によって、ドル円は金曜日の終値と月曜日の終値に大きなギャップを上方に空けた後、先週は米リーマンブラザースの予想外の破綻によってドル円は下方に対して大きなギャップを空けるなど市場の動きが目に見えて大きくなっている。
20日間のヒストリカル変動率は豪ドル円で28%台、NZD円で26%台、ランド円でも26%近くまで急上昇を見せており、高金利として日本から人気を集めていた通貨の下落幅が目立っている。
変動率だけではなく、下落率も60営業日ベースでは豪ドル円で18%の下落など、かつて無い勢いで円を買い戻す動きが目立っている。
金融機関に対する信用不安が市場の円買戻しの引き金を引いたこともあり、市場では取引を積極的に行うことが少なくなっており、流動性も落ちている。流動性の低下は短期取引が中心の為替市場でも目立っており、中長期中心の株式市場、債券市場、金利市場ではさらに進んでいると思われる。先週は米金融機関に対する懸念から米系を中心とした金融機関に対して資金繰りとして必要なドルを貸す向きがなくなり、ドル金利が急騰、超短期政策金利が2%のところ、8%あるいはそれ以上の金利でもドルを借りようとする動きにつながっており、スワップポイントでも思わぬ値動きとなった。
しかしその後、各国中央銀行が自国市場でドルを直接供給するなどの方策を発表したことで市場は落ち着きを取り戻しつつあり、7月中旬より始まったクロス円を中心とした一方的な円高ステージに調整的な動きが強まりそうだ。
どの通貨も下落率が非常に大きかったこともあり、戻りの相当の値幅となりそうであるが、下落のスピードが速かったことや、マーケットが薄くなっていることを考えると時間的にも短期間で一気に戻る可能性が高い。
但し、長い目で見てクロス円での円安に対する調整は済んだとは思えず、あくまでも調整的な値戻しと考えるべきと思っている。
米国だけではなく、各国の金融機関への影響や下落していた資源価格が金価格のように急上昇を見せるなど、景気後退懸念から資源価格下落によってインフレ懸念の後退を見込んでいた市場でも、景気後退だけではなく、依然としてインフレに対する注意が必要な状態が続いている。
その意味では各国経済に対する懸念は強まっており、売る通貨は多くても自信を持って買える通貨が少ない状態といえる。
9月後半から10月にかけて円の買い戻しに一服感が出るものと思われるが、年末に向けて改めて円を見直す動きにつながる可能性が高いと思われ、押し目での円売りを考えるよりは戻りでの円買いを考えるべきかも知れない。
クロス円反発の余地を探る展開
米政府からGSE救済策が前週初めに発表され、11日にNZ中銀は市場予想を超える 0.50bpの利下げを決定したが、リーマンブラザーズ買収観測やFRB緊急利下げの噂などで、軟調に推移していたドル円は大きく反発し、クロス円も連れて上昇、長い下ヒゲを作って、マーケットの流れが変わったように見えた。
しかし昨日は、クロス円反発の元となったリーマンブラザーズの買収話が不調に終わり、破産法の申請が報道されると、週初再び大きな窓を開けて下値を試す形からスタートした。
マーケットが薄い中、11日の下値割れリスクも視野に入っていたが、この下ヒゲ水準を積極的に売り込むには、相当のエネルギーが必要であり、下値は限定的となった。
目先の底入れが達成されると、今度は各国の景気減速度合いや金利先安観を見極めながら、戻りの高さを確認する動きが予想される。
今週はゴールドマンサックス、モルガンスタンレーの決算発表が予想されており、また16日には米上院銀行住宅都市委員会の公聴会でポールソン財務長官が証言する予定となっている。
リーマンブラザーズの対応を含めて、マーケットの反応が芳しくない場合、政府の対策に修正を迫られる可能性もでてくるだろう。
戻り高値を確認後は改めて、クロス円は下値を模索する流れとなるリスクを抱えているため、当局要人のコメントには注意しておきたい。